福島原発刑事訴訟支援団結成1周年集会に参加する
2017年1月29日、世田谷区の等々力区民会館で行われた福島原発刑事訴訟支援団結成1周年集会に参加した。
津波による原発事故の予見はされていたにも関わらず、その対策を怠ったとして東京電力の勝俣恒久会長（事故当時）ほか経営陣2名を業務上過失致死傷で告訴したこの訴訟は、
昨年2月に東京第5検察審査会が起訴議決を出したことで強制起訴となり、「やっとここまで来たという思いです（武藤類子代表）。」と今後への期待が高まった。
しかし昨年4月27日に東京地裁から、初公判前に争点や証拠を絞る公判前整理手続きを行うとの決定を出して以来初公判が未だ開かれない状況が続いている。
この集会の副題は「一日も早く裁判を！」「福島原発事故の真実を明らかに」。
既に九州電力の薩摩川内（1号機）・四国電力の伊方（3号機・1号機は廃炉に）・関西電力の高浜（3号機）の原発再稼働が進んでいる。
まさに会場全体が「事故の原因を解明せずに再稼働させ、記憶の風化を図ろうとするのは許せない」をいう雰囲気で満ち溢れていた。
（写真は海渡雄一弁護士がパワーポイント資料を用いて改めて訴訟に至る過程と意義を説明しているところ）
集会は佐藤和良団長のあいさつから始まり、
弁護団からの報告。海渡弁護士のほか河合弘之弁護士からも話があり、「大切なことは3つ、全ての原発をなくすこと、裁判で事故の責任を問うこと、被害者を最後の一人まで救済すること。」を強調し。「公判が行わればマスコミなどが関心をもつ、さらに追及をすることで（再稼働に積極的な）東京電力を追い込んでいく。」「世界銀行は原発に投資しないと決めた、正義は私達にある、この裁判は自然エネルギー転換への究極の戦いだ」と熱く語った。
その後に被害者からのスピーチがあった。
大賀あや子さんは大熊町。第一原発から4、5キロ地点から7、5キロのほうに引っ越す最中に事故が起き、新潟県と福島（会津若松）を何度も
避難生活「宅」を移動することを余儀なくされた。その理由は「大熊の地で野垂れ死んでしまいたい」ほど心身が追い詰められたことからだった。
妊娠の可能性があることから自分の住む家から遠ざけられ、ふるさとのために何もすることの出来ない苦しさを涙ぐみながら語ったその姿には、決して無視できない事故の生んだ大きな傷を表している。
もちろん「新潟の避難者は、柏崎刈羽原発の安全性をＰＲする東電の姿勢は許せないということについて大筋で一致している。」ことも発言で付け加えた。
続いてうのさえこさんは福島市。原発に依存しない福島を作る活動を進めようとしたところで事故が起き、
連れ合いの実家がある山口県から九州、そして現在は京都で自主避難している。
事故当時、自分たちを守るために必要な情報が入らない、そしてこの状況が続く中で再稼働が行われることに激しい憤りを感じると強く訴え、また自分と同じ避難者とたくさん出会ったことで、それぞれの決断で避難を続ける、または地元に戻る選択をして生活を続けていることを称えあいたい、そして誇りに思うからこそ裁判を通じて原発事故の責任を明らかにしなければならないと語った。
大賀さんはあの「2011・3・11」の時に唯一電話が通じた知人できょうこの集会でスピーチしてくれことはとても良かったと話してくれた。
この後会津坂下町在住の千葉親子さんから、原発事故以降の甲状腺がん（特に18歳未満）患者が増える現状で、福島県もその治療のための内部アイソトープ治療施設を増やしていることなどの報告もあった。
甲状腺がん治療充実へ?国内最大の治療施設完成・福島医大 OurPlanet-TV
賛同人のスピーチもあり、映画監督の鎌仲ひとみさんは「事故が起きなくても原発を稼働させれば廃棄物が出る。それを自国で処理することは出来ないという問題、そして被ばくも考えなければいけない。」ことを中心に訴え、いわき市出身の講談師・神田香織さんは国会で安倍首相が「云々」を「でんでん」と言い間違えたことを枕に、
なぜ原発事故が起きたかということを過去に遡って歴史を学んでいくうちに、明治維新を起こした薩長同盟にその過ちが行き着くのではということで最近読み始めた「明治維新という過ち」の中身を紹介し、さらにどんなにめげていてもお腹から声を出すことで前向きに引っ張ってくれるということでみんなで少し発声練習を。いやぁ気持ちが楽になりました。本当に初公判が早く開かれてほしいが政治の世界では東京では小池（都知事）劇場やらアメリカではトランプ大統領誕生やら、国会では金田法相が共謀罪で説明がまともに出来ず、稲田防衛相が南スーダン派遣を巡って「戦闘を認めると憲法九条に抵触するから使わない」ことにして現場からの報告文書の隠蔽を隠すなど、すっかり失言のことが忘れ去られてしまった。（これを書いている最中に日米"ゴルフ"首脳会談が終わったところ）。そして福島第一原発2号機の格納容器内でメルトダウンをおこした格納容器内で毎時650シーベルトもの空間線量が確認されたとのニュースも飛び込んできた。廃炉作業も依然として厳しいままだ。
福島２号機・カメラ２時間で不具合 ６５０シーベルト高線量が影響か しんぶん赤旗